備えあれば災い(わざわい)なし

自然災害や日常生活に潜むさまざまなリスクへの備えについて考えます

楽しい避難所であれば避難してみたいという心理

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先日の台風20号ですが、徳島県南部に上陸し、兵庫県姫路市付近に再上陸した後、北上し日本海に抜けました。

今回、台風による死者はいませんでしたが、10数名の方がケガをされています。

一方、避難については、全国で約428,000世帯、約943,000人に避難勧告が発令されましたが、実際に避難所へ避難した人は、わずか約12,000人にとどまっています。たったの1%です。(出典元:内閣府防災情報ホームページ)

では、どうすれば住民の皆さんは、災害に遭う危険性が増した状況下において自治体からの情報(避難勧告など)を聞きとり、上手く避難できるのでしょうか?

 

 

住民が避難しない理由

 

台風の接近により風水害の危険性が高まると、全国の自治体は避難勧告を発令して、住民の命を守るための措置をとります。しかし、そんなことはよそ目に住民はまるで避難しようとはしません。

このギャップは一体何なんでしょうか?

住民が避難しない決定的な理由の一つに、正常性バイアスがあげられます。

正常性バイアスとは、社会心理学、災害心理学などで使用されている心理学用語で、”自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性”のことです。

「うちは大丈夫だ」「長年住んでいるが災害に遭ったことはないから今回も何も起きないだろう」「テレビが大騒ぎしているだけだ」こういった勝手な解釈です。

しかし、一方で「避難勧告が出たことを知らなかった」「避難勧告の意味を知らない」「避難が危険と思い、自宅にとどまった」こういう人もいます。

 

どうすれば避難できるのか

 

では、どうすれば住民は避難するのでしょう。

簡単です。避難しない理由を一つずつ潰していけばいいんです。

  • 正常性バイアスについては、過去の災害事例を参考に、どこでも災害が起こる可能性があることを子供のころから学校教育の中でたたき込むんです。
  • 大人は子供の見本になるように、しっかりと防災のことを学び、いざという時には近所の人たちとも協力して、先頭に立って避難を導くんです。
  • 高齢者は、「ここは大丈夫、逃げなくてもいい」などと余計なことを言わずに、一番最初に避難するんです。
  • 災害発生の危険度が高まってくる状況においては、住民自らが気象情報などを収集し、避難のタイミングを自らで考え、安全なルートで避難所まで逃げるんです。
  • 自治体(行政)は、住民の避難をスムーズに行うために、避難のタイミングの目安として避難勧告を発令し、安全な避難所を開設するんです。

これさえできれば、災害における犠牲者は間違いなく激減します。

 

役所は”北風と太陽の話””を勉強した方がいい

 

”北風と太陽”の話、ご存知ですよね。

北風と太陽が、どちらの力が強いか勝負しようということで、旅人の服を脱がす勝負をした話です。

北風は、力いっぱい吹いて上着を吹き飛ばそうとしましたが、寒さを嫌った旅人は上着をしっかり押さえます。そこで、さらに強く吹いて上着を吹き飛ばそうとしますが、旅人はさらにもう1枚上着を着こみます。結局、北風は旅人の服を脱がすことができませんでした。

一方、太陽は、暖かさで旅人を照らしました。すると旅人は暑さに耐えられなくなり、自分から上着を脱ぎ、さらに暑いので全部の上着を脱ぎ捨ててしまいました。

 

住民の避難も、この”北風と太陽の話””と似ています。自治体(行政)が一方的に避難を呼びかけても、住民は避難することの意義を理解せず、面倒な避難はしたくない、という行動に走ります。

そこで、例えば「台風が近づいています。皆さん、こういう時は温泉に避難して、美味しい料理やお風呂を楽しみましょう。予算は役所が払いますよ」と呼びかければどうでしょう。

温泉に入って、カラオケでもしていれば、あっという間に台風は通過していきますよ。今、必要なのは、楽しい避難所かもしれませんね。

北風でなく、太陽になって避難を呼びかけることも必要だと思います。

 

ではまた。