備えあれば災い(わざわい)なし

自然災害や日常生活に潜むさまざまなリスクへの備えについて考えます

南海トラフ地震が30年以内に70~80%の確率で起きるって本当?

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政府の中央防災会議は、これまで「東海地震は予測可能、警戒宣言を出して対応する」としていましたが、昨年9月、対象範囲が大幅に広がった南海トラフ地震について、「南海トラフ地震は予測困難、防災対応を改めるべき」との発表をしました。

こうした中、南海トラフ地震の30年以内の発生確率は70~80%に引き上げられています。確実にその発生に近づいている南海トラフ地震。

今日は、国の取り組みについて考えてみたいと思います。

 

 

東海地震と大規模地震対策特別措置法

 

1978年、東海地震の切迫性が高まる中、大規模地震対策特別措置法(大震法)が制定されました。
この大震法は、あらかじめ東海地震により甚大な被害が生じると予想される地域を地震防災対策強化地域に指定し、地震発生が切迫する状況になると、内閣総理大臣が警戒宣言を発令し、強化地域における社会活動を制約し、被害軽減を図るものですが、具体的には次のようになっています。
  • 避難:避難対象者はあらかじめ指定された避難所へ避難
  • ライフライン:飲料水・電気は供給継続、ガスは支障をきたさない範囲で減圧措置
  • 電話:一般の利用を制御、利用者に対して協力要請
  • JR、私鉄: 強化地域内の在来線・新幹線ともに最寄りの安全な駅に停車
  • バス、タクシー:強化地域内で運行を中止
  • 船舶:津波の影響がある強化地域周辺海域で運航を中止
  • 一般道路、高速道路: 強化地域内への流入を極力制限、 強化地域外への流出は原則制限なし
  • 金融機関:オンライン稼働を除いて、営業を停止
  • 百貨店:営業を停止し、買い物客を外に誘導
  • 病院: 外来診療を中止
  • 劇場:営業を停止し、客を外に誘導
  • 学校、幼稚園:状況に応じて保護者に引き渡し
出典:内閣府ホームページ

警戒宣言発令時のこうした対応も、地震の予測ができるという前提があってのものです。社会活動を制限・休止するにあたって、いつ頃地震が発生するかという目処が分からなければ、鉄道は運転見合わせ、学校は休校という状況がずっと続くわけですから。

このように大震法は、あくまでも東海地震は予知可能ということを前提にした法律であるということです。


南海トラフ地震は予測できない

 

しかし、1995年に阪神淡路大震災が発生し、さらに2011年に東日本大震災が発生する中、地震予測に関する信頼度の低下や、想定を越える地震により甚大な被害が発生したことなどを踏まえ、南海トラフ地震対策について再検討が行われました。

その結果、政府の中央防災会議は昨年9月、東海地震を含む南海トラフ地震について「確度の高い予測は困難」「地震活動の統計的予測が現時点での唯一の手法」として、予知前提の防災対応を改めるべきとの報告書をまとめました。

過去、南海トラフ沿いでは、おおむね100~150年周期で大地震が繰り返し発生しており、震源地も駿河湾から四国沖にかけての複数の地域で同時又は2年程度の時間差で発生していることが分かっているため、こうした地震の周期を確率論として活用した予測手法ということです。

とても時代遅れな方法って感じがしますが、これしかないんですね。

 

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出典:内閣府ホームページ

http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taio_wg/pdf/h300412shiryo01.pdf

 

このため、内閣府を中心とするメンバーにより南海トラフ地震の新たな防災対策についての検討が始まるとともに、その結果が出るまでの間、暫定措置として、気象庁は異常現象が観測された場合に「南海トラフ地震に関連する情報」を発表し、南海トラフ沿いの地域に警戒を呼びかけることとして、昨年11月から運用を開始しています。

 

新たな防災対応と臨時情報

 

新たな防災対応については、今年4月、内閣府に有識者などで構成するワーキンググループが設置され、静岡県・高知県をモデルにした津波避難や暮らしのあり方、中部経済界では企業の防災対応についてそれぞれ検討が進められています。今年12月を目処に一定の方向性をとりまとめる予定みたいですね。

一方、気象庁の「南海トラフ地震に関連する情報」ですが、南海トラフ沿いでマグニチュード7以上の地震が発生した場合や、東海地域に設置されたひずみ計に異常な変化を観測した場合などに「臨時情報」を発表し、注意喚起を呼びかけることとなっています。

つまり、東海地震の「警戒宣言」とは違い、南海トラフ地震の「臨時情報」は拘束力のないものとなっており、家具の固定や避難場所・避難経路の確認など、地震発生への備えを呼びかけるものに留まっているのです。

こうなると、いま南海トラフ地震が発生してしまったら、私たち住民自らが判断して行動せざるを得ないということです。一刻も早く国としての防災対応を決めていただき、いざというときに混乱しないような状況にしてもらいたいものです。

 

ではまた。